世界に訴える強み探せ 徳島市出身の猪子チームラボ社長
四国の中心市街地から活気が失われつつある。にぎわいをもたらすには何が必要か。徳島市出身で、デジタル技術やアートを活用した街おこしを手掛ける、チームラボ(東京・文京)の猪子寿之社長に聞いた。 ――地方都市の現状をどう見ますか。 「いまさら大都市と同じような開発をしたところで勝てはしない。その街の歴史的背景や地理的側面を生かしたアプローチをしなくては。ただ『豊かな自然がある』のはどの地方も同じ。自分たちの強みを見つけてアピールすることが重要だ」 「いま取り組んでいるのは、地方の街並みや自然環境に、映像や音などのデジタルアートを組み合わせるプロジェクト。元からの特徴を引き出したうえで新たな魅力を付け加えて、わざわざ行きたくなる『別世界』に仕立てる。これは大都市にはできないことで、海外にもアピールできるポテンシャルがある」 ――徳島市で開く「徳島LEDアートフェスティバル」の芸術監督に就任しました。 「会場となる市中心部と自然がとても近く、身近に感じられるところが魅力だ。徳島城跡の城山には珍しい原生林があり、何本もの川が街中をめぐっている。そういった森や
「四国創生論」建築家の伊東豊雄さんに聞く
――地方創生への関心が高まっています。 「私は20年以上公共建築に携わっている。重要プロジェクトの多くを地方で手掛けており、訪れるたびに都会と違った豊かさを感じていた。国の調査によれば、東京在住者の約4割が地方移住を検討しているか検討したいと回答し、3割弱が都市と地方の2地域居住を希望している。地方の存在はこの先さらにクローズアップされるだろう」 「最大の魅力は自然がありコミュニティーが残っていること。都会人は均質な生活で表情が乏しいが、地方のお年寄りなどはとても個性豊かだ。人の絆やコミュニティーは災害が多い日本では重要で、東日本大震災を機に被災地ばかりか都会でも実感が深まった」 ――愛媛県今治市の離島でも「みんなの家」に取り組んでいます。 「大三島で『今治市伊東豊雄建築ミュージアム』を建設したのを機に、私や私塾のメンバーが現地に入り、島の美しさにひかれて住民と自主交流を始めた。空き家を『みんなの家』に改修するなどしており、日本一美しい島を作る意気込みだ」 ――地方の街づくりについての提言は。 「ミニ東京を目指すのではなく独自性を追求してほしい。